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[CAMP STAR] スタッフブログ コラム 2021.11.16

水素キャンパーは本当に実現するのか

水素キャンパーは本当に実現するのか

水素社会とは

水素社会とは、日々の生活や経済活動などに水素を使うことが浸透した社会のことです。

現在の日本は、石油や石炭、天然ガスといった化石燃料に、エネルギーの大部分を依存している状況です。

たとえば2020年の日本国内の発電量のうち、約75%を化石燃料を使った火力発電が占めています。

化石燃料には、燃やすときに二酸化炭素を排出することや、資源が限られているなど、さまざまな問題があります。

今と同じように化石燃料を使い続けるわけにはいかず、そのことが世界中で問題視されているのです。

そんな状況の中、脚光を浴びているもののひとつが、CO2フリーを可能にするエネルギー、水素。

高いポテンシャルに大きな期待が寄せられる一方で、技術面、経済面でのハードルは高く、普及にはかなり時間がかかると思われてきました。

しかし最近、急激な勢いで課題解決が進み、水素社会の実現が具現化しつつあります。

水素利用の現状と、キャンピングカーへの水素利用のの可能性を考えてみます。

水素エネルギーの特徴

水素は、地球上でもっとも軽い気体です。

その重さは、空気の約14分の1程度。

水素は酸素と反応させることで、電気と水が発生します。

その電気をエネルギーとして利用できます。

そんな水素エネルギーには、主に以下の3つの特徴があります。

  • 使うときに二酸化炭素が出ない
  • いろんなものから作ることができる
  • エネルギーを水素に変えて保存できる

CO2を排出しない

自動車や飛行機などのエンジンをはじめ、発電所の心臓部であるガスタービンなど、内燃機関に欠かせない「燃焼」という現象。石炭や石油などの化石燃料は、燃やすと二酸化炭素が出ます。

燃焼の歴史は古く18世紀半ばから19世紀にかけて起こった産業革命以降、蒸気機関車や自動車、飛行機、発電機など、さまざまな内燃機関を搭載したシステムが発明され、人類に欠かせないインフラとして大きく発展してきました。

燃焼のエネルギー源のほとんどが化石燃料であり、石油は約50年後に、石炭も約100年後には枯渇すると言われています。なので、それらをいかに効率よく使っていくのかが人類の喫緊の課題となっています。

たとえば、燃費がいいとされるあのハイブリッド車ですら、熱効率はいまだ38%程度で、燃料が持つエネルギーの多くは使用されずに排気などから捨てられているため、熱効率の向上はまだまだ大きな課題です。

しかし水素を燃やしても、二酸化炭素は出ません。

二酸化炭素は温室効果ガスの一種で、地球温暖化の大きな原因のひとつとされています。

燃焼させても二酸化炭素が出ない水素は、地球温暖化を食い止めるエネルギーとして注目されているのです。

いろんなものから作ることができる

水素は地球上にたくさん存在しています。

水から取り出すこともできますし、それだけでなく、石油や石炭などの化石燃料、木材や生ゴミの「バイオマス」や非常に安価に入手できる「褐炭」など、いろんなものから作ることが可能です。

エネルギーの多くを依存している化石燃料は、採れる量に限りがあります。

たとえば石油の可採年数は、2016年時点で50.6年とされており、いつまで使い続けられるかはわかりません。

一方で水素なら地球上のさまざまな資源から作ることができるので、化石燃料の枯渇問題を解決できる手段として期待されています。

エネルギーを水素に変えて保存できる

エネルギーを水素に変えて保存できるのも大きな特徴です。

たとえば太陽光発電や風力発電は、天候などに大きく左右される発電方法です。

良い状況下ではたくさんの電気を発電できる一方で、逆に発電しすぎて余ってしまうこともあるでしょう。

その余った電力を水素に変換すればエネルギーの貯蔵が可能です。

褐炭(かったん、Lignite、brown coal)とは、石炭の中でも石炭化度が低く、水分や不純物の多い、最も低品位なものを指す。 ただし、褐炭のごく一部に黒玉として珍重されるものも存在する。

水素利用のロードマップ

多様なエネルギーの中でも極めてクリーンなエネルギーとして注目されている水素。

FCV(燃料電池車)や家庭用燃料電池「エネファーム」などで、かつてより水素を身近な存在になりました。

しかし、普及の足取りは依然ゆるやかで、「水素社会」という大きなビジョンが実現するには、課題解決の難しさから、ほんの少し前までは、水素社会の実現は非現実的とする懐疑的な見方が広がっていました。

ところが、近年、状況は急激な変化を見せています。

地政学的リスクを抱える化石燃料からの脱却、エネルギー安全保障の確保、再生可能エネルギーの無駄のない利用、新産業創出と、水素社会のもたらすメリットは多いのです。

とりわけ気候変動の脅威が各国の社会経済を脅かし始めた今、普及コストとリスクを天秤にかけてでも水素社会に舵を切った方が得策であると、我が国でも本腰を入れ始めた模様です。

経済産業省「​水素・燃料電池戦略ロードマップ​」より

水素社会実現に向けた取り組み

水素社会を実現するために、経済産業省は「​水素・燃料電池戦略ロードマップ​」を打ち出しました。

このロードマップでは、水素社会の確立に向けて、下記の3つのフェーズを設けています。

フェーズ1(2019年〜)
燃料電池の社会への本格的実装段階。
家庭用燃料電池や燃料電池自動車の利用を広げることを目指す。

フェーズ2(2020年代半ば)
水素発電の本格導入、大規模な水素供給システムを確立するフェーズ。

フェーズ3(2040年頃)
CO₂フリー水素供給システムを確立する段階。

また、水素社会実現への具体的な取り組みとしては、下記のようなものが行われています。

褐炭水素プロジェクト
オーストラリアで水素を製造し、日本へ運ぶことを目指すプロジェクト。
輸送がむずかしく、利用先が限定される低品質な石炭「褐炭」を活用して水素を作る。
製造した水素は​液化し、それを「液化水素運搬船」で長距離輸送する。

水素化プラントの開設
2019年に、ブルネイで水素化プラントを開設しました。
ブルネイで製造した水素は、すでに日本に向けて輸送を開始しています。

ほかにも、水素社会に少しでも近くため、燃料電池の導入やクリーンエネルギー自動車の購入に対して、日本政府は補助金を出して支援しています。

水素キャンパーへの課題

水素社会で、水素キャンパーが登場するまでには、課題はまだまだ山積しています。

たとえば下記のような課題があります。

  • 燃料電池の耐久性や信頼性などの技術面
  • 製造や輸送、貯蔵などのコスト面
  • 水素を日常生活や産業活動でエネルギー源として使用することを前提とした制度整備
  • 水素ステーション整備といった水素供給体制などのインフラ面

水素から電力を生み出す燃料電池の進歩、さらには再生可能エネルギーから環境に優しいグリーン水素を作り出す水電解装置を高性能化など、課題は日々解決されています。

そう遠くない未来に、水素ステーション付きのRVパークが登場し、水素キャンパーでクルマ旅ができるかもしれませんね。

 

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