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T-590コンセプト 開発レポート 第五話「真髄」
2012年6月18日
全体的のコンセプトフォルムがほぼ固まったら、車両全体にシャープさを入れ、書き直してみる。面と面との交わる所でエッジの利いた鋭さを生み出す。
ここではあえてサインペンを使う。より固い印象を出す為だ。
アウディを想像して頂けると分かりやすい。ここ数年でアウディのデザインは大きく変わった。全てにエッジが利いており、洗練さと清潔さが印象に残る。少し前の曲面を帯びたイメージはあまり無い。
ところが、実際にボディーを舐め回してみてみると、実は曲線だらけだ。
何が変わったのか? これこそがデザインの真髄である。
ボンネットの見切りライン、フロントグリルやヘッドライトのエンド処理、フロントフェンダーやドアの見切り、テールランプやリヤバンパー、全てにシャープさがあり清潔感が漂う。不思議な事に嫌味なほどの突起や抉りはどこにも無い。まさに絶妙なバランスの中にあるのだ。
ルーフ側面にエッジの利いたキャラクターラインを追加した。サイドパネルの面積が大きい為に起こる野暮ったさを解消する為だ。
サインペンの良さは、鋭い印象を生み出す事。ただしデメリットもある。所詮、線描きしたイラストに過ぎず、現実の立体物にするには矛盾があるのだ。つまり、2次元の世界の表現に過ぎない。
アニメのキャラクターが着ぐるみになり等身大になると、大きな違和感を感じるのと同じである。幼少のころ、初めて3次元の“スネ夫”を見た時は衝撃的だった。
徐々に修正を重ね、ボデーデザインの最終段階へ移って行く。
by“kaihatu”